床ずれ

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今日は、床ずれについて書きたいと思います。開業医としては診ることは少ないのですが、入院中の患者さんの特に寝たきりの方に多く見られる疾患です。

床ずれは医学用語では褥瘡といいますが、一定時間体動がない状態でいると、その部位の血流が乏しくなり、放っておくと、皮膚の細胞が死んでしまい、潰瘍が出来ていくというものです。

僕が、研修医の頃や、病院に勤務していたころは、床ずれの治療は、せっせと消毒して、そのあとに、殺菌作用のある軟膏、クリーム等を詰めてガーゼで覆うといった治療が一般的でした。

しかし、これが全く良くならない。どころか悪化するばかりといったことを繰り返しておりました。処置をした翌日、ガーゼ交換する度に、暗澹たる気持ちになったことが思い出されます。

僕が病院を辞めて開業するまで、その治療法が一般的だったと思います。ところが、「褥瘡の治療?嫌だな~」という思いを一変させる画期的な治療法が、発表されたのです。

実は、僕は開業した後も週に2回程、内科医として近くの病院で勤務しているのですが、その病院にも褥瘡のひどい患者さんが多くいらして困っておりました。

その病院には週に1回皮膚科の先生が来ていて、褥瘡なども診ていただいていたのですが、やはり治療法が従来の、消毒して殺菌剤などを詰め込むというものでした。褥瘡は全然良くならず、全身状態が悪化するということの繰り返しでした。

そんな時に出会ったのが、 

    鳥谷部俊一先生著の 「褥瘡の治療の常識非常識」 

という一冊の本でした。

この本の何が画期的かというと、今まで当たり前のようにやっていたイソジンで消毒、殺菌剤などは一切使うな、ということでした。処置は生理食塩水という0.9パーセントの食塩水で患部をやさしく洗浄して、そのあと、なんと、サランラップで覆うといった方法でした。

当初これを読んだときは、半信半疑でした。しかし、豊富な実例の写真などで、みるみる改善していく過程を見せつけられ、これはいけるんじゃないかと思うようになったのです。

最初病院の婦長さんにこういった治療をしたいんだけど、と話したらかなり驚かれ、大丈夫ですか??といわれました。(管理する側というのは、問題を起こしたがらない、現状維持といった考えを本能的にお持ちなので当然の反応だと思いました。)しかし、先ほどの本を持ち込み、すごくよくなる画期的な治療法ですよと話して、半ば強引に治療を開始しました。(どちらにせよ全然褥瘡が良くならないといった事情もありましたが)  

処置は非常に簡単でした。生理食塩水で洗って、ラップで覆う、これの繰り返しでした。結果が出るのは数週間~数か月なので、その間は悪化したらどうしようとか、ラップって医療用具でないけど大丈夫なの?とかドキドキしていたのを覚えております。(最初の1週間は特に)

しかし、幸いなことに、患部を見るたびにどんどん良くなっていく褥瘡をみて、これは本当にいける!と確信に変わっていきました。ガーゼをはがす度に暗澹たる思いになっていたのが、嘘のように、今日はどの位よくなっているかな?とやや大げさですが、ウキウキした感じで処置にあたったのを思いだされます。看護婦さんなども、あんなに良くならなかった褥瘡が、こんなに劇的にしかもこんな簡単な処置で治っていく様を驚いておりました。以降、かなり深い大きな褥瘡なども抗生剤などを併用して、ほぼ9割以上は完治しており、現在に至っております。最近は何も言わなくてもラップ療法で処置されており、以前のようにコンサルトされることも大分少なくなってきました。(そもそも内科医の僕にコンサルトすることが変といえば、変でしょうが) 

今では大分一般的になっていると思われるラップ療法ですが、これを考えだし、実行された鳥谷部先生には敬服するばかりです。低コストで治療効果抜群のこの治療法は日本を問わず、海外でも広く知れ渡って欲しいものだとおもいます。そして、癌などの他の疾患でもこういったコペルニクス的発想で治療法が発見されるのではと夢想してしまい、今後が楽しみになってきます。

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