当院でも花粉症の治療をしておりますが、今のところは概ね症状が軽い人の方が多い印象です。
花粉症の治療には、内服と点鼻、点眼治療があります。
内服治療では、鼻汁には主に抗ヒスタミン剤を、鼻閉にはロイコトリエン拮抗薬というものを使い分けております。抗ヒスタミン剤はよく効きますが、副作用に眠気があります。個人差が大きいので、これなら眠くならないよとは中々断言できないのですが、お話を伺って合いそうな薬を処方します。
点鼻は当院ではステロイド点鼻薬を処方することがおおいです。ステロイドと聞くとあの悪名高いステロイドか、と思う方もいるかもしれませんが、それは内服をした時の話で、点鼻薬では全身的な副作用は殆ど出ません。その割に、鼻汁、鼻閉両方に良く効き、大変重宝します。但し即効性はありませんので、なんだ効かないじゃないかと使用を止めないでください。大体2~3日目から効いてくるので、それまでは抗ヒスタミン剤でつなぐというのが、良い方法ではないかと思います。
又、透明な鼻汁や、薄い色の痰が多くでるのがこの疾患の特徴ですが、それには漢方薬の小青竜湯が良く効きます。漢方というと、1ヶ月位飲まないと効いてこないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、小青竜湯などこの系統の漢方薬は即効性です。眠くもならないし、これも重宝しております。散剤が苦手な方には錠剤もあります。
但し漢方薬は副作用が無いと思われる方もいるかと思われますが、その人の症状や体質等(漢方用語で証といいます)に合わせて出さないと、思わぬ副作用が現れることがあります。(漢方の副作用については、別の機会に書きたいと思います。)
アレルギー性の結膜炎も伴う人が多いと思います。抗ヒスタミン系の点眼薬も即効性があり、良く処方します。症状のひどい方には緑内障が既往にないことを確認して、屯用でステロイド点眼薬を処方します。ステロイド点眼薬には濃度が薄いのと濃い物の2種類ありますが、当院では薄い方を処方しております。それでも症状がひどい方は、眼科で眼圧のチェックや目の感染症の有無を確認された上で、濃度の濃いステロイド点眼薬を処方してもらった方が宜しいかと思います。
他にも治療薬はありますが、当院では大体この治療でコントロールできる方が多いです。あまりひどい方は、耳鼻科でレーザーで鼻粘膜を焼灼することもあります。
その他、経口舌下免疫療法といって、少量のスギアレルゲンエキスをパンなどに浸み込ませ、舌の裏に短時間置くことによって、次第にスギアレルゲンに慣れていく治療法です。最近のトピックスで、2014年6月には鳥居薬品の製剤が保険適応になります。
当院では、以前父が注射による減感作治療をしておりましたが、現在はしておりません。理由として、この治療の問題点となっている、
○ 強いアレルギー反応の出現(アナフィラキシー)、(極く稀。但し出現した時は重症。)
○ 治療期間が長く、途中で中断すると振り出しに戻るばかりでなく、悪化することがある、
○ 舌下後、2時間程は飲酒、運動は制限される
などがあるからです。
しかし、花粉症症状の特にひどい方には朗報なのは間違い無いと思いますので、一般の治療で効果の無い方や、副作用が強く出る方等は積極的にトライされても宜しいかも知れません。